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"雰囲気読書家、烏屋茶房の今日の一冊 #2"

10/27/2018

 


 前回、"雰囲気読書家、烏屋茶房の今日の一冊"というタイトルが決まる前に書きはじめていたので、改めてスタートの趣を勝手に感じています。烏屋茶房です。



秋といえば読者の他に天体観測の季節、というイメージを勝手に持っています。夜がだんだんと長くなってゆく季節、涼しくなった夜の中で、コーヒーがぬるくなるまでのんびりと星を眺める……なんとも風情がありませんでしょうか?

 夏の七夕、冬の澄み渡る夜と星のコントラスト、他の季節にも天体の魅力はあふれていますが、それを良いバランスで味わえるのは秋なのではないかなと。
丁度先日まではオリオン座流星群が空を彩っていたそうです。あいにく東京は曇りでしたね。




さて、皆さんの意識を天体に誘導したところで今日お勧めしたいのはこちら。



「一千一秒物語」稲垣足穂


天体をモチーフにしたお話、というと「銀河鉄道の夜」や「星の王子様」を連想された方も多いかと思います。どちらも大好きでそのうち扱いたいと思っているのですが、それはまたの機会にしようと思います。



稲垣足穂は大正末から昭和にかけて活躍した作家であり三島由紀夫からも尊敬されていた人物です。パイロットに憧れ、近眼のためその夢が絶たれてもなお、飛行機関係の仕事についていた時期もありました。彼は空や天体、夜といったモチーフを好みました。
そんな足穂の代表作「一千一秒物語」は足穂が10代のうちに書き上げた、1ページにも満たない、短くて大量の作品で構成されている、いわば超短編集のような作品で、足穂が自分のその後の作品を称して「一千一秒物語の注釈に過ぎない」と言い放つほど、自他ともに認める名著です。

その内容は月と喧嘩したり、星でパンをこしらえたり、ガス灯と掴み合いをしたり、月光の密造現場を目撃したりと、なんとも賑やかな作品や、どことなく夜の寂しさを思わせる「自分を落とした話」など、幻想的で、不思議な夜を旅している感覚に陥らせてくれます。文学作品はじっくりと読み解く、という読み方をされる方が多いかもしれませんが、この作品は是非、難しく構えず、雰囲気を楽しむことを念頭に読んでみてもらえるといいのかな、と思います。


読者に考える間も与えないほど降り注ぐ夜の物語の流星群。晴れた秋夜には、読む天体ショーを片手に、夜の星空に思いを馳せてみてはいかがでしょうか?

ではグッドナイト!お寝みなさい 今晩のあなたの夢はきっといつもとは違うでしょう(稲垣足穂『一千一秒物語』より引用)​

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