ここまで二回連続で秋の話題を続けましたが、この秋の枕で始まるシリーズ、今回も続行いたします。烏屋茶房です。 秋といえば読書!秋といえば天体!あと一つ付け加えるとするならば……?そう、芸術です。お前の秋は文化系に寄りすぎだ、なんて声も聞こえてきそうですが、仕方がないのです。応援している野球チームはポストシーズンを迎えられませんでしたし……。 芸術の秋、といっても自分は絵はかけません。しかし、一時期絵画や芸術の歴史を扱う学問、“美術史“を専門に勉強したことがあります。 きっかけはとある画家の絵を見たことでした。キャンバスの上に現れる水平と垂直の線、そこに配置される赤青黄色の三原色。絵画だというのにそれ以上の情報がない、あるのはあまりにも冷たい印象の画面。作家の名前はピエト・モンドリアン。(Wikipedia) 私は、その絵画と呼べるのかも怪しいような一枚の絵に圧倒されました。全ての要素を極限まで要素を削ぎ落としながら、芸術のイデアを直接画面に貼り付けた、と表現したくなるような作品の数々に触発され、モンドリアンやその周辺の、第一時世界大戦後の戦間期を中心とした抽象芸術の歴史を学びました。 典型的な好きな話題だとつい熱が入ってしまいます。今日紹介したいのは、画家、ピエト・モンドリアンが、高らかに新しい芸術の時代の到来を宣言した文章です。 新しい造形ー新造形主義 (紹介しておいてなんなのですが、薄くてそこそこお高い本なので、どこかで借りてみることをお勧めします) この当時、ヨーロッパでは複数人の芸術家が一つの主張の元に集って作品を作る、文章を発表する、というのはよくある話だったのですが、モンドリアンもその例にもれず、“デ・ステイル“という団体を立ち上げて、新造形主義を標榜して製作を行いました。 モンドリアンのこの文章は、理論的というよりも霊的であったり直感的な正しさを重視しているきらいがあるので、公平なものの見方ではないかもしれませんが、不変の芸術をなんとか表現しようと苦心し、やっとの思いでその境地にたどり着いた歓喜や確信に満ち溢れています。 自分が文学少女インセインを製作した頃、深く読み込んだ作品で、正しさ、という事に対して多大な影響を受けておりました。 今回のモンドリアンの文書であったり、20世紀初頭の諸芸術運動は、作品だけではなく文書や理念も面白いものが多くあります。ぜひ、この秋は美術館を巡って、ついでに少しだけ、近代芸術家の芸術論に触れてみてはいかがでしょうか? コメントはクローズされています。
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